国際協力学研究科 安全保障専攻 遠藤 哲也 教授
演習指導内容
秋の戸切地陣屋(北海道北斗市)の虎口を内側の土塁越しに見た画像(遠藤撮影)。陣屋と呼ばれていますが、永久陣地、城塞と言うべき規模のものです。この城は、幕末期、江戸幕府の命で松前藩が、欧米列強からの蝦夷地防衛のため、函館・五稜郭に先駆けて、ペリー再来航後の1855年に建設した日本国内初の星型城塞(陵堡式城郭)です。読書は勿論とても大切ですが、このように現在の各地域や史跡を自分の足で歩き、目で見る事もとても大事だと思っています。
遠藤ゼミでは、「日本の防衛・危機管理問題」を中心に扱います。育成を目指すのは有事を理解する市民、あるいは学術的分析力を備えた武官として、学術性と実際性を併せ持って市民社会での危機管理・安全保障理解を深めたり、実務を担う組織と一般社会をリエゾンする「セキュリティ・ストラテジスト」です。これまでゼミ学生には多数の退役・現役幹部自衛官ほか多くの社会人も迎えています。過去のゼミ学生の研究テーマは民間防衛、間接侵略、軍事法制、プロパガンダ、日本とNATO、軍隊でのPTSD…などです。その他、教員の対応可能範囲なら、火器導入後の一六世紀後半から近現代迄の各種関連テーマの研究が可能です(純然たる防災防疫危機管理問題の指導はしていません)。
志願者へのメッセージ
今日、マスコミをはじめとするメディアを通じて「正しい考え方」「正確な現状認識」として大量に流される情報の中には、人々に一つの物の見方や価値観を与えようとするプロパガンダ的指向性を持つものが多く含まれています。表向きの綺麗ごとやアジェンダの押し付けに惑わされず、自身の視点で真実や正しさを考えられるようになってほしいと思いますし、それが科学だと思っています。大学で行う学問は、本来、手に職を付ける為ではなく、真実を知り自分や社会の進んで行く道を考える賢さを得る為のものです。