拓殖の先達に訊くvol.05
仕事も研究も充実!
大学院で叶える夢
日本語教師としてのキャリアアップと
研究を目的に大学院に進学
現在、本大学院に通いながら都内の日本語学校の常勤講師としてアジアからの留学生に日本語を教えています。大学時代は他大学の文学部文学科日本文学文化専攻に籍をおき、図書館司書をめざしていたのですが、処遇面などを考え進路変更することに。アルバイトの経験から接客やBtoCの仕事に興味があったため、卒業後は家電量販店に就職し、携帯販売員として働きました。しかし、会社の経営方針とお客様のニーズにギャップを感じ、1年で退職。
アルバイトをかけもちし、書店や図書館などで情報収集しながら次のステップについて考えるなか、日本語教師という仕事を知り、独学で試験勉強をしました。2021年度の日本語教育能力検定試験に合格しましたが、より実践的な経験を積むために2022年1月から養成講座にも通いました。そして2022年2月から、養成講座・飲食店のパートと兼務で日本語学校の非常勤講師として働き始め、勤務校の変更などもありつつ、現在の常勤に至ります。
日本語教師としてスキルアップを図り、最新の研究を学びながら自分自身の研究にも取り組みたいと思い、2024年4月、本大学院言語教育研究科日本語教育学専攻博士前期課程に入学しました。
アルバイトをかけもちし、書店や図書館などで情報収集しながら次のステップについて考えるなか、日本語教師という仕事を知り、独学で試験勉強をしました。2021年度の日本語教育能力検定試験に合格しましたが、より実践的な経験を積むために2022年1月から養成講座にも通いました。そして2022年2月から、養成講座・飲食店のパートと兼務で日本語学校の非常勤講師として働き始め、勤務校の変更などもありつつ、現在の常勤に至ります。
日本語教師としてスキルアップを図り、最新の研究を学びながら自分自身の研究にも取り組みたいと思い、2024年4月、本大学院言語教育研究科日本語教育学専攻博士前期課程に入学しました。
職場の理解を得、仕事と両立しながら
大学院で学ぶ日々。自身の決意が原動力
本大学院を選んだ理由は、夜間の時間帯に授業があり仕事と両立しやすいこと、私が研究したいと考えていた非漢字系学習者の漢字習得について、専門の先生がいらっしゃったこと、この2つが大きいですね。仕事が終わってから通学しやすい立地、茗荷谷駅からすぐというアクセスの良さも決め手となりました。
職場は本来週5日勤務なのですが、うち1日はお休みをいただき、午前と午後びっしり授業を受けています。残りの4日は、勤務が終わってすぐに大学院に直行し、17時35分から授業。2コマある日は終わるのが21時20分で、帰宅すると23時近くになってしまいますが、職場の理解があり、何よりも院での学びすべてが仕事に直結していて非常に興味深く、ハードながらも充実した毎日を過ごしています。
「『社会人として働きながら学生に戻る』と決めたのは私自身」という決意が学びの原動力になっていますし、私以外の社会人と大学院を両立している方からも「なにかをつかみとろう」という高い学習意欲が感じられ、刺激をもらっています。
職場は本来週5日勤務なのですが、うち1日はお休みをいただき、午前と午後びっしり授業を受けています。残りの4日は、勤務が終わってすぐに大学院に直行し、17時35分から授業。2コマある日は終わるのが21時20分で、帰宅すると23時近くになってしまいますが、職場の理解があり、何よりも院での学びすべてが仕事に直結していて非常に興味深く、ハードながらも充実した毎日を過ごしています。
「『社会人として働きながら学生に戻る』と決めたのは私自身」という決意が学びの原動力になっていますし、私以外の社会人と大学院を両立している方からも「なにかをつかみとろう」という高い学習意欲が感じられ、刺激をもらっています。
留学生が苦手な漢字学習を
促進するための研究を
大学院での研究テーマは、「初級非漢字系学習者の漢字習得について」。日本に留学してくる学生の多くは、母語に漢字をもっていません。そのため留学生にとって漢字はとても難しく、日本語学習全体に対するモチベーションの低下につながりがちです。
そこで、どのような方法が字形認識を助け、漢字習得を促進するのかを明らかにするため、勤務している日本語学校の学生の漢字テストを分析し、書き誤りの分類や傾向、原因などの比較データを作りました。
このデータに考察を加え、2025年3月ごろの学会で発表する予定です。
来年度は、漢字の基本線を最小限の6本とし、それぞれに形状の類似したアルファベット・ コードを付与することで線の認識や書き分けを支援することを目的としている漢字学習方法「K-code」を用いた指導を行い、書き誤りにどのような変化がみられるのかを比較分析し、修士論文を執筆する予定です。
そこで、どのような方法が字形認識を助け、漢字習得を促進するのかを明らかにするため、勤務している日本語学校の学生の漢字テストを分析し、書き誤りの分類や傾向、原因などの比較データを作りました。
このデータに考察を加え、2025年3月ごろの学会で発表する予定です。
来年度は、漢字の基本線を最小限の6本とし、それぞれに形状の類似したアルファベット・ コードを付与することで線の認識や書き分けを支援することを目的としている漢字学習方法「K-code」を用いた指導を行い、書き誤りにどのような変化がみられるのかを比較分析し、修士論文を執筆する予定です。
大学院に進学して学びがより深まり
社会貢献を意識するように
研究においては、学部で学んだ基礎知識を起点に「自分が本当に知りたいことは何か」「自分の研究が、どのように社会貢献できるのか」など、学びがより深まり、社会とのつながりが強くなったことを実感しています。
なぜその研究が必要なのか、何に役立つのか、今後どのように発展させたいのかなど、研究の目的、過程、他研究との違いなど、あいまいな部分が一切許されないのが修士論文の難しさであり、授業レポートなどにはない、とことん何かを探求する面白さでもあると思います。自分の漠然とした思考が、根拠を伴って他の方に読んでいただける形になっていく過程は、何物にも代えがたい達成感があります。
なぜその研究が必要なのか、何に役立つのか、今後どのように発展させたいのかなど、研究の目的、過程、他研究との違いなど、あいまいな部分が一切許されないのが修士論文の難しさであり、授業レポートなどにはない、とことん何かを探求する面白さでもあると思います。自分の漠然とした思考が、根拠を伴って他の方に読んでいただける形になっていく過程は、何物にも代えがたい達成感があります。
本大学院では、社会人をはじめさまざまなバックグラウンドを持つ学生に対し、先生方がリモート授業を含め柔軟な学習環境を提案してくださるなど、安心して学業に専念する環境が備わっています。これは特殊なケースかもしれませんが、私の場合は先生に事情を話し、講義に関して個別対応をしていただいたことがあります。熱意が伝われば、時には不可能と思えることも可能にしてくれる学舎であるということを身をもって実感しました。学務課のサポート体制も充実しており、奨学金や履修の組み立て方など個別の相談にもきめ細かく対応してくださいます。このようなユニークで自由度の高い学習環境に支えられ、私自身安心して社会人と学生を両立できています。
博士後期への進学も視野に入れながら、
海外に渡りたい
将来的には、博士後期への進学も視野に入れながら、海外に渡り、非漢字系学習者に対して来日前の日本語予備教育に携わってみたいと考えています。
拓殖大学大学院言語教育研究科日本語教育学専攻は、日本語教師としての仕事と研究の両立を検討している方にはぴったりの環境であることはいうまでもありませんが、さまざまな国籍の学生が在籍していますので、多様な背景をもつ学生の意見から学ぶことが多く、教材開発の仕事や研究者など、進路選択の幅も広がると思います。あらゆる意味で「懐の深い大学院」だと思いますので、「自分が求める学びに合う環境が見つからない」という方は、ぜひ一度、門をたたいていただければと思います。
拓殖大学大学院言語教育研究科日本語教育学専攻は、日本語教師としての仕事と研究の両立を検討している方にはぴったりの環境であることはいうまでもありませんが、さまざまな国籍の学生が在籍していますので、多様な背景をもつ学生の意見から学ぶことが多く、教材開発の仕事や研究者など、進路選択の幅も広がると思います。あらゆる意味で「懐の深い大学院」だと思いますので、「自分が求める学びに合う環境が見つからない」という方は、ぜひ一度、門をたたいていただければと思います。
日本における英語教育の
発展に寄与したい
外国語教育の「実践」だけでなく
「理論」を学ぶために大学院へ
小・中学校時代に世界各国の人とコミュニケーションがとれる英語の楽しさを知り、英語教師を志すようになりました。教員養成専門の学部を卒業し、高校で英語教員として5年間働いた後一旦教育の世界から離れてカフェでアルバイトをしていました。その後、外国語教育の「実践」だけでなく「理論」を学び、再び英語教員としてより深い授業を行いたいと考え、本大学院に入学。2023年3月に英語教育学専攻博士前期課程を修了後、翌年(2024年)4月から本学で英語講師をつとめています。
大学院で理論を深めたことにより、日々の授業において「ペアワークやグループワークで発言しない学生でも、自身の中で学びが起こっている可能性がある。その学びを促進するためにはどんなアプローチがよいか」など、生徒一人ひとりへの見取りをより深めながら実践できていることを実感しています。
大学院で理論を深めたことにより、日々の授業において「ペアワークやグループワークで発言しない学生でも、自身の中で学びが起こっている可能性がある。その学びを促進するためにはどんなアプローチがよいか」など、生徒一人ひとりへの見取りをより深めながら実践できていることを実感しています。
アルバイトと学業の両立のため、
奨学金制度を活用
大学院入学前は、カフェでアルバイト生活を送っていました。学業に集中するため勤務時間を減らしたぶん金銭的に厳しかったため、学費は奨学金で補っていました。
入学前に下調べし、「日本学生支援機構奨学金」に応募したのに加え、拓殖大学言語教育研究科自体の奨学金もありましたので、そちらにも応募しました。選考があるのですが、授業や研究などに一生懸命取り組めば、それが評価され支給していただける可能性があります。幸いにも私は支給を受けることができ、非常に助かりました。
入学前に下調べし、「日本学生支援機構奨学金」に応募したのに加え、拓殖大学言語教育研究科自体の奨学金もありましたので、そちらにも応募しました。選考があるのですが、授業や研究などに一生懸命取り組めば、それが評価され支給していただける可能性があります。幸いにも私は支給を受けることができ、非常に助かりました。
実力のある同級生、親身な先生方の存在が
研究のモチベーションに
修士論文のテーマは、「スピーキング」です。英語の4技能「聞く」「話す」「読む」「書く」の中で、私自身が「話す」力を伸ばすことの大変さを感じていたこと、英語教師として話す力を伸ばす効果的な授業を展開したいと考えていたことから、英語を話すときの流暢さを向上させたり不安を軽減させたりする方法について、実践に基づいて研究しました。
いちばん親交が深かった同級生が中国からの留学生だったのですが、彼は「IELTSスピーキング」で9点満点中8点をとる実力者。「彼のように流暢に話せるようになりたい」という思いが研究のモチベーションにつながりましたし、先生方も常に親身にさまざまな相談にのってくださいました。良い刺激を受けながら自分のペースで研究でき、修士論文執筆は、「苦労」というよりも、一大作品を作り上げる「楽しさ」のほうが大きかったですね。もともと凝り性なこともあり、「より精度を高めたい」と最後の仕上げに没頭し、気づいたら締め切り1時間前。急いで印刷して提出したことは、今では良い思い出です。
授業実践と研究が
密接に結びついている
大学院入学前、修了後は高校の英語教員に戻ろうと思っていましたが、研究が進むにつれ「教育と研究両方に集中したい」と考え、大学教員の道に進むことにしました。幸いにも他大学での英語講師の職を得た後に、本学外国語学部の英語講師として就職することができ、現在は授業を行いながら研究を続けています。
研究は、修士論文の「スピーキング不安」に加え、「リスニング不安」にも範囲を広げています。
「スピーキング不安」も「リスニング不安」も、授業の前後にアンケートを実施し、スピーキング活動の前後で学習者の不安感がどのように変化するのかを数値で分析しています。授業実践と研究が密接に結びついていることを実感しますし、授業についても先行研究など、今までに得られた知見をもとに行っていますので、理論に基づいた授業を展開することができていることを日々感じています。
研究は、修士論文の「スピーキング不安」に加え、「リスニング不安」にも範囲を広げています。
「スピーキング不安」も「リスニング不安」も、授業の前後にアンケートを実施し、スピーキング活動の前後で学習者の不安感がどのように変化するのかを数値で分析しています。授業実践と研究が密接に結びついていることを実感しますし、授業についても先行研究など、今までに得られた知見をもとに行っていますので、理論に基づいた授業を展開することができていることを日々感じています。
「思考する習慣」は、どの仕事に
おいても生かされる
本大学院言語教育研究科は、「理論」に重きをおいて学びを深めたい方、自分のペースで学びを進めたい方におすすめです。私は教育の道を歩んでいますが、教育分野だけではなくコミュニケーション分野や言語分野も学べるため、それぞれの知識を活かし、さまざまな道が拓けるのではないでしょうか。実際、同級生たちは、スピーキングコーチ、事務職、IT関係など多様な分野で活躍されています。何よりも、大学院で身につけることができる「思考する習慣」は、どの仕事においても生かされると確信しています。
学会参加などを通し、日本で英語を教えている先生方は、自主的に研究を行ったり勉強会に参加したりと、学びへの意識の高さに感銘を受ける機会が多いです。教員としてのキャリアを積み重ねながら研究にも時間を費やし、英語教育に携わる先生たちのより良い実践につなげ、日本における英語教育の発展に寄与していきたいですね。ゆくゆくは、博士号の取得にも挑戦したいと考えています。
学会参加などを通し、日本で英語を教えている先生方は、自主的に研究を行ったり勉強会に参加したりと、学びへの意識の高さに感銘を受ける機会が多いです。教員としてのキャリアを積み重ねながら研究にも時間を費やし、英語教育に携わる先生たちのより良い実践につなげ、日本における英語教育の発展に寄与していきたいですね。ゆくゆくは、博士号の取得にも挑戦したいと考えています。