拓殖の先達に訊くvol.08
就職活動に踏み切れないなか
教授から大学院を薦められ、進学を決意
工芸・デザイン系の専門高校のインテリア科を卒業し、2020年、工学的な面からものづくりやデザインを学べる拓殖大学工学部デザイン学科に入学しました。学部では、2年次以降のコース分けで、文化や伝統的・工芸的な部分から人の暮らしを支え豊かにするデザインの手法を学ぶ生活デザインコースを選択。デザイン学科では、ゼミではなく研究室に所属するのですが、室内空間に置かれる家具、食器、玩具などのデザイン提案を行う阿部眞理先生の「用品設計研究室」に在籍し、卒業研究では和紙が身近に感じられるよう、ナオロンという和紙をランプシェードの素材として使用し提案する内容にしました。
学部時代、「大学卒業後は就職し、デザイナー職につきたい」と漠然と考えていたのですが、どんな企業がよいのか、自分がどんなデザイナーが向いているのか絞りきれず、就職活動に踏み切れずにいました。自分の中に学びが蓄積されている実感が湧かず、「このまま社会に出て大丈夫なのか」という不安があったのも事実です。
そんな中、阿部先生から大学院進学を薦められました。先輩方の修士論文、博士論文を読ませていただいたりこれまで研究室で行ってきた研究内容について詳しく伺ったりするうちに、進路の選択肢のひとつとして考えるようになり、4年次の秋に大学院進学を決めました。学内進学の場合、入学試験は1月。出願から入学試験まで約1カ月しかなかったのですが、研究テーマは夏くらいからイメージしていたこともあり、試験準備の苦労はあまりなかったですね。
両親はもともと「卒業後の道は就職だけではない」という考え方で、私の大学院進学を快く受け入れてくれました。
学部時代、「大学卒業後は就職し、デザイナー職につきたい」と漠然と考えていたのですが、どんな企業がよいのか、自分がどんなデザイナーが向いているのか絞りきれず、就職活動に踏み切れずにいました。自分の中に学びが蓄積されている実感が湧かず、「このまま社会に出て大丈夫なのか」という不安があったのも事実です。
そんな中、阿部先生から大学院進学を薦められました。先輩方の修士論文、博士論文を読ませていただいたりこれまで研究室で行ってきた研究内容について詳しく伺ったりするうちに、進路の選択肢のひとつとして考えるようになり、4年次の秋に大学院進学を決めました。学内進学の場合、入学試験は1月。出願から入学試験まで約1カ月しかなかったのですが、研究テーマは夏くらいからイメージしていたこともあり、試験準備の苦労はあまりなかったですね。
両親はもともと「卒業後の道は就職だけではない」という考え方で、私の大学院進学を快く受け入れてくれました。
少数精鋭で、専門家である
先生方と密なコミュニケーションがとれる
大学院での学びは、ひと言で表すと「少数精鋭」。学部時代は学生の人数が多く質問しづらかったことも、大学院では気兼ねなく先生方に聞くことできるので、授業では密度の濃い時間を過ごすことができています。長年、専門分野に精通した先生方と至近距離でコミュニケーションを図ることができるのが、大学院のメリットのひとつであると感じています。
同級生の人数は少ないですが、たとえば研究でとある材料の特性を調べていくなかで、同じ研究室の学生から異なる材料の情報を教えてもらったことが自身の研究のアイディアにつながることもあり、新たな気づきを得られる点も魅力です。
同級生の人数は少ないですが、たとえば研究でとある材料の特性を調べていくなかで、同じ研究室の学生から異なる材料の情報を教えてもらったことが自身の研究のアイディアにつながることもあり、新たな気づきを得られる点も魅力です。
自然素材への興味を起点に生活用品に応用できる
新たな素材の開発を研究テーマに
博士前期課程での研究テーマは「自然材料を組み合わせた紐状材料の開発と生活用品への応用」です。「用品設計研究室」では、これまでの研究として地震などでゆれても倒れにくい減災家具の研究や、脱プラスチック・食品ロスなどの社会問題に取り組まれてきました。テーマとしてこれらの選択肢もあったのですが、学部4年次の卒業研究で和紙を扱ってきたこと、和紙はもともと自然素材の材料でできていることから、自然素材を室内用品に用いる研究に興味を抱きました。
さらに、先行研究として紐状の材料について調べられており、綿などは他の素材と組み合わせてねじったり、編んだり、織ったり、面材にすると壁紙などにも使えるようになります。現時点の研究段階では、さまざまな素材の特性を詳しく調べ、最適な組み合わせを模索しているところで、最終的にはこの新しい素材を壁紙や建具などの生活用品に応用することを目標にしています。
素材のひとつとして糸の特性を調べているのですが、今回の研究で初めて手にする材料もあり、「こんな材料も世の中にあるのか」「なぜこれまでこの材料が日常生活の中で使われてこなかったのか」など、自分の中で新たな問いが生まれることにも研究の醍醐味を感じます。
さらに、先行研究として紐状の材料について調べられており、綿などは他の素材と組み合わせてねじったり、編んだり、織ったり、面材にすると壁紙などにも使えるようになります。現時点の研究段階では、さまざまな素材の特性を詳しく調べ、最適な組み合わせを模索しているところで、最終的にはこの新しい素材を壁紙や建具などの生活用品に応用することを目標にしています。
素材のひとつとして糸の特性を調べているのですが、今回の研究で初めて手にする材料もあり、「こんな材料も世の中にあるのか」「なぜこれまでこの材料が日常生活の中で使われてこなかったのか」など、自分の中で新たな問いが生まれることにも研究の醍醐味を感じます。
学会での発表で
さらに研究が深まる
学外で開催される学会で発表の場がもてるのも楽しいですね。これまでに2回、学会に参加して自身の研究テーマとその過程について発表させていただいたのですが、他大学の教授から指導教授とは異なる視点で質問をいただく機会もあり、それについて考え、調べることでさらに研究を深めていくことができますし、自身の成長を実感できます。
発表のためにスライドをまとめる作業においても、「この説明は足りていないのではないか」「説明をするためには、どうデータを解析するのが必要か」などといった試行錯誤から得られるものも多く、研究へのモチベーションにつながっています。
阿部先生は、豊富な専門知識を擁していらっしゃることはもちろん、驚くほど幅広い人脈をお持ちです。「〇〇についてくわしく調べたいです」と相談するとすぐに相談先として関係するOB・OGを紹介してくれたり、研究に関連するさまざまな会社や機関へつないでくれたりと、あらゆる面で頼りにさせていただいています。
発表のためにスライドをまとめる作業においても、「この説明は足りていないのではないか」「説明をするためには、どうデータを解析するのが必要か」などといった試行錯誤から得られるものも多く、研究へのモチベーションにつながっています。
阿部先生は、豊富な専門知識を擁していらっしゃることはもちろん、驚くほど幅広い人脈をお持ちです。「〇〇についてくわしく調べたいです」と相談するとすぐに相談先として関係するOB・OGを紹介してくれたり、研究に関連するさまざまな会社や機関へつないでくれたりと、あらゆる面で頼りにさせていただいています。
将来に不安を抱いている人こそ
「大学院進学」の選択肢を
大学卒業後の進路について考えるとき、「自分の中の方向性は定まっていないけれどもとりあえず就職しよう」と思っている学生さんがいたら、「ちょっと待って。一度立ち止まって、大学院進学についても検討してみては?」と言いたいですね。私自身がそうだったということもありますが、大学院で研究を通じて学びを深めることで、自分を律しながら専門的な知識や経験を重ねることができ、自分の「芯」のようなものができると思います。将来に不安を抱いていると、焦って就職を考えがちかもしれませんが、そのような人こそ「大学院進学」という選択肢があると、私は思います。
私自身の今後については、博士前期課程の2年間でできるところまで全力で研究しながら、就職に向けて準備を始めたいと思います。先生方や先輩方からアドバイスをいただきつつ、自分が納得行く形で、大学院で積み上げてきたものを出し切れる場所を探していきたいですね。そして、ゆくゆくは自身が研究した素材やデザインしたものが世の中に出て、それらがあちらこちらで使われている光景を見てみたいと思います。
私自身の今後については、博士前期課程の2年間でできるところまで全力で研究しながら、就職に向けて準備を始めたいと思います。先生方や先輩方からアドバイスをいただきつつ、自分が納得行く形で、大学院で積み上げてきたものを出し切れる場所を探していきたいですね。そして、ゆくゆくは自身が研究した素材やデザインしたものが世の中に出て、それらがあちらこちらで使われている光景を見てみたいと思います。
デザイナーと工学の両方に興味がある人、
自ら問いを見つけ解決したい人に
拓殖大学大学院工学研究科 情報・デザイン工学専攻では、デザインの視点だけでなく、工学的な視点からも物事を捉えることができるため、将来、デザイナーとして活躍するために必要な幅広い知識とスキルを修得することができると思います。
大学院は、自己を律して研究に取り組むことができる人にこそおすすめです。特に、今の自分自身に不安がある人、「自信をつけたい」「芯を強くしたい」と考えている人、さまざまな知識や技術を身につけたい人、アウトプットする力を高めたい人、デザインと工学の両方に興味がある人、将来デザイナーとして活躍したいけれど、商品の強度や安全性など工学的な知識も身につけたい人、デザインの背景にある技術的な要素に興味がある人、自ら問いを見つけ、解決していくのが好きな人、学問的な探求心があり、常に新しいことを学びたい人。このような人にとって、拓殖大学大学院工学研究科は最適な学びの環境と言えるでしょう。
大学院は、自己を律して研究に取り組むことができる人にこそおすすめです。特に、今の自分自身に不安がある人、「自信をつけたい」「芯を強くしたい」と考えている人、さまざまな知識や技術を身につけたい人、アウトプットする力を高めたい人、デザインと工学の両方に興味がある人、将来デザイナーとして活躍したいけれど、商品の強度や安全性など工学的な知識も身につけたい人、デザインの背景にある技術的な要素に興味がある人、自ら問いを見つけ、解決していくのが好きな人、学問的な探求心があり、常に新しいことを学びたい人。このような人にとって、拓殖大学大学院工学研究科は最適な学びの環境と言えるでしょう。