拓殖の先達に訊くvol.07
大学3年次に受講した「消費者行動論」に
衝撃を受け、大学院進学を決意
幼少期に難病を患い、長い入院生活を通じて多様な方々とコミュケーションをとってきました。自身の将来を考えたとき、これらの経験からマクロな考え方ではなくミクロな視点で人々の行動を分析できる商学に興味を抱き、2018年4月、拓殖大学商学部ビジネス学科に入学しました。
ただ、実際に学び始めるとそれほど興味を持てず、3年次のゼミでは商学系ではなく教育系の海口浩芳先生の元で学んでいました。そんな中、田嶋規雄先生の「消費者行動論」の最初の授業で、缶コーヒーを例に、今まで漠然と捉えていた消費者の購買行動の意思決定について具体的に言語化された講義を聞き、感動と衝撃を覚えました。講義を重ねるごとに「この学問について深く学びたい」という知的欲求が増し、「一度しかない人生、今しかできないことに挑戦してみたい」と、大学院進学を決めました。3年次の秋頃のことです。
海口先生のゼミ活動は継続しつつ、学部に在籍しながら大学院の講義を受けることができる早期履修制度を利用し、学部4年次に大学院の商学に関係する講義を受けました。卒業論文は、海口先生が田嶋先生と連携をとってくださり、教育と商学の要素を兼ね備えた内容で指導してくださいました。私の思いや希望進路を汲み取ってくださった海口先生には大変お世話になりましたし、「大学院に進学したい」という私の意思を尊重してくれた両親にもとても感謝しています。
ただ、実際に学び始めるとそれほど興味を持てず、3年次のゼミでは商学系ではなく教育系の海口浩芳先生の元で学んでいました。そんな中、田嶋規雄先生の「消費者行動論」の最初の授業で、缶コーヒーを例に、今まで漠然と捉えていた消費者の購買行動の意思決定について具体的に言語化された講義を聞き、感動と衝撃を覚えました。講義を重ねるごとに「この学問について深く学びたい」という知的欲求が増し、「一度しかない人生、今しかできないことに挑戦してみたい」と、大学院進学を決めました。3年次の秋頃のことです。
海口先生のゼミ活動は継続しつつ、学部に在籍しながら大学院の講義を受けることができる早期履修制度を利用し、学部4年次に大学院の商学に関係する講義を受けました。卒業論文は、海口先生が田嶋先生と連携をとってくださり、教育と商学の要素を兼ね備えた内容で指導してくださいました。私の思いや希望進路を汲み取ってくださった海口先生には大変お世話になりましたし、「大学院に進学したい」という私の意思を尊重してくれた両親にもとても感謝しています。
異なるバックグラウンドを持つ
学生との交流から生まれる新たな発想
大学院は、講義のほとんどがディスカッション形式のため、インプットとアウトプットが同時に効率良く行うことができ、学生同士の距離が非常に近く感じます。外国人学生も多く、異文化を知ることもできます。たとえば中国籍の学生とラーメン定食について話をすると、日本では一般的な「ラーメンと餃子とごはんのセット」が中国では「ありえない」そうで、このような雑談を通してマーケティングのアイディアが生まれやすいことも実感しています。
また、年齢層も幅広く、自身がこれまで取り組まれてきた仕事のDX化を研究テーマに、定年退職されてから学びにこられている方もいらっしゃいます。国籍や年齢は違えども、「学びをより深めたい」という志をもつ同じ研究科の学生同士で意見交換することで、自分一人では導き出せない新たな発想が生まれることもあり、見識がかなり広がりました。
施設においては、資料や荷物が置ける専用のロッカーや控え室、自習にも使用できるパソコン室などがあります。いずれも大学院棟で完結しているため、移動することなく快適に学べる環境が整っています。
また、年齢層も幅広く、自身がこれまで取り組まれてきた仕事のDX化を研究テーマに、定年退職されてから学びにこられている方もいらっしゃいます。国籍や年齢は違えども、「学びをより深めたい」という志をもつ同じ研究科の学生同士で意見交換することで、自分一人では導き出せない新たな発想が生まれることもあり、見識がかなり広がりました。
施設においては、資料や荷物が置ける専用のロッカーや控え室、自習にも使用できるパソコン室などがあります。いずれも大学院棟で完結しているため、移動することなく快適に学べる環境が整っています。
消費者の深層心理を捉えた
マーケティングをテーマに修士論文を
博士前期課程での研究テーマは、学部時代に大きな影響を受けた田嶋先生のご指導のもと、「ポップカルチャーでの非公式コミュニティ活用による潜在顧客誘引と企業介入の可能性に関する考察」としました。現在、消費者の購買意思決定は、インフルエンサーやSNSをはじめとしたインターネット上のコミュニティに大きく影響を受けています。そのため、多くの企業がインフルエンサーを活用したマーケティングを行っています。
しかし、たとえば、「この商品、おすすめです!」と発信したインフルエンサーが、その商品を扱う企業からなんらかのインセンティブを受け取っていることが消費者に発覚した場合、そのインフルエンサーの発言力は著しく下がります。それだけでなく、企業への信頼に悪い影響を及ぼす危険性もはらんでいます。
しかし、たとえば、「この商品、おすすめです!」と発信したインフルエンサーが、その商品を扱う企業からなんらかのインセンティブを受け取っていることが消費者に発覚した場合、そのインフルエンサーの発言力は著しく下がります。それだけでなく、企業への信頼に悪い影響を及ぼす危険性もはらんでいます。
これは、消費者の、「同じ商品のファン同士と信じていたのに」という幻滅や怒り、「インフルエンサーだけひいきされているのはずるい」という嫉妬心などの複合的な心理作用から来るものではないかと推察しました。そこで、インフルエンサー単体ではなくコミュニティ全体に焦点を当てることができれば効率的かつ再現性のあるマーケティング運用が可能になるのではないかと考えました。
それを踏まえたうえで、過去の類似研究を精読してレビューを行い、理論の補強を進めました。また、インフルエンサーであるYouTuber が形成するコミュニティにも着目しました。事例研究として著名なYoutuberが開発し、大ヒットした食品の購買理由などについて消費者を対象にアンケート分析を行い、成功要因にコミュニティがどの程度関与していたのかという考察を行ってきました。
それを踏まえたうえで、過去の類似研究を精読してレビューを行い、理論の補強を進めました。また、インフルエンサーであるYouTuber が形成するコミュニティにも着目しました。事例研究として著名なYoutuberが開発し、大ヒットした食品の購買理由などについて消費者を対象にアンケート分析を行い、成功要因にコミュニティがどの程度関与していたのかという考察を行ってきました。
博士後期課程への進学を決意
自らが先陣となって進められるのが研究の面白さ
博士前期課程の修士論文に夢中で取り組むうち、「この研究の裾野をさらに広げることができる」といった可能性を感じました。田嶋先生に相談したところ背中を押してもらい、博士前期課程2年の前期中に博士後期課程に進むことを決めました。
他の大学の博士課程に進学することも考えましたが、自身の研究を理解してくださる田嶋先生のもとで引き続き学び続けたいと思い、2024年4月、本大学院博士後期課程に進学。博士前期課程から博士後期課程に進む際も、両親は私の思いを理解し、応援してくれました。「わがままを許してくれてありがとう」という気持ちでいっぱいです。
博士後期課程の研究テーマは「ポップカルチャーを構成するコミュニティへの消費行動研究」です。現在は、博士前期課程の研究で著していた「非公式コミュニティ」という言葉を「プロシューマコミュニティ」と新しく定義づけし、さまざまな文献を調べながらこの定義をさらに確固たるものにするための論文を書いています。本格的な博士論文制作に向け、最初の土台を築いているところです。
研究の面白さは、自らが先陣となって進めていけるところにあると思います。
よく「自分の研究テーマに関しては世界一詳しくなれ」と言われていますが、これはある種、当たり前のことだと思います。なぜなら、大学院で行う研究は、常に新しいことを開拓していく作業だからです。
いっぽうで、研究の主体はあくまでも自分だからこそ、教授の方々を含め「これまでに誰も手をつけたことがないこと」「誰も知らないこと」があるなかで新たな発見をしていかなければならないところに難しさを感じています。
自分の立ち位置を明確にして進む方向を決め、先人がなしえなかった新しい研究を行うためにも、常日頃から、日常生活の中で研究テーマに関するヒントを発見したり気づきを得たりした場合は、その場でメモをとることを心がけています。授業はもちろん友人や家族との会話など、日々の生活と研究が密接に結びついています。
他の大学の博士課程に進学することも考えましたが、自身の研究を理解してくださる田嶋先生のもとで引き続き学び続けたいと思い、2024年4月、本大学院博士後期課程に進学。博士前期課程から博士後期課程に進む際も、両親は私の思いを理解し、応援してくれました。「わがままを許してくれてありがとう」という気持ちでいっぱいです。
博士後期課程の研究テーマは「ポップカルチャーを構成するコミュニティへの消費行動研究」です。現在は、博士前期課程の研究で著していた「非公式コミュニティ」という言葉を「プロシューマコミュニティ」と新しく定義づけし、さまざまな文献を調べながらこの定義をさらに確固たるものにするための論文を書いています。本格的な博士論文制作に向け、最初の土台を築いているところです。
研究の面白さは、自らが先陣となって進めていけるところにあると思います。
よく「自分の研究テーマに関しては世界一詳しくなれ」と言われていますが、これはある種、当たり前のことだと思います。なぜなら、大学院で行う研究は、常に新しいことを開拓していく作業だからです。
いっぽうで、研究の主体はあくまでも自分だからこそ、教授の方々を含め「これまでに誰も手をつけたことがないこと」「誰も知らないこと」があるなかで新たな発見をしていかなければならないところに難しさを感じています。
自分の立ち位置を明確にして進む方向を決め、先人がなしえなかった新しい研究を行うためにも、常日頃から、日常生活の中で研究テーマに関するヒントを発見したり気づきを得たりした場合は、その場でメモをとることを心がけています。授業はもちろん友人や家族との会話など、日々の生活と研究が密接に結びついています。
分析能力を飛躍的に
高めることができた
大学院で学んでいることで、分析能力が飛躍的に高められていることを実感しています。この分析能力を具体的に説明すると、まずは、要約能力です。さまざまな文献のレビューを何十回も何百回も繰り返すことで、要約してレポートにまとめる作業が非常に早くなり、精度もあがりました。次に、複数の知識を活用して理論を構築する客観的思考、さらに、ディスカッションを通じて習得される多角的視野などがあげられます。
これらを統合した分析能力は、単純な「知識」ではなく「スキル」として応用が利くため、将来どのような業界で働くにしてもさまざまな場面で自身の助けになってくれると確信しています。
研究活動とはあまり関係ありませんが、分析能力を高めることができたことで、議論中に対立する意見が出た場合や人間関係のトラブルに遭遇した場合などで、お互いの論点を客観的な立場から整理し双方を落ち着かせる術が身についたようにも感じます。
これらを統合した分析能力は、単純な「知識」ではなく「スキル」として応用が利くため、将来どのような業界で働くにしてもさまざまな場面で自身の助けになってくれると確信しています。
研究活動とはあまり関係ありませんが、分析能力を高めることができたことで、議論中に対立する意見が出た場合や人間関係のトラブルに遭遇した場合などで、お互いの論点を客観的な立場から整理し双方を落ち着かせる術が身についたようにも感じます。
1対1の指導や学友との
交流に大学院で学ぶ意義がある
将来は、大学院で学んだ知識を生かして研究をさらに深め、ゆくゆくは、商学に関する研究者・指導者をめざしたいと思っています。私にとっては偉大すぎる存在で口にするのもおこがましいのですが、目標とするのは田嶋先生です。常に学生に寄り添い、学生の突拍子もないような考えも決して否定せず、時には厳しく、方向性を調整してくれたりしながら正しい道を示してくれる田嶋先生のような研究者、指導者になりたいと考えています。
現代は、インターネットを使えば誰でもどこでも学べる時代になっています。特にYouTubeなどの動画はわかりやすい内容のものが多く、文系一辺倒で理系の知識が全然ない私でも、一時停止したり、コメントを参考にしながら微分積分などの勉強がひとりででき、理解もできます。しかし、高度な専門知識や膨大な経験をもつ先人や学友と直接意見を交わすことはできません。大学院は、1対1で研究について指導してもらえたり、研究手法を教授してもらえる真の意味での「学びの場」であり、ここに大学院に通う意義があると思っています。また、研究で行き詰まったとき、さまざまな相談にのってもらえる学友の存在も、大学院ならではの良さです。
知識だけでなく、分析能力を含めさまざまな能力を鍛えたい方、インターネットで学べる知識以上の学びを求める方、自分の能力をさらに高めたい方は、進学先として拓殖大学大学院商学研究科が有力な候補のひとつであると私は考えます。
現代は、インターネットを使えば誰でもどこでも学べる時代になっています。特にYouTubeなどの動画はわかりやすい内容のものが多く、文系一辺倒で理系の知識が全然ない私でも、一時停止したり、コメントを参考にしながら微分積分などの勉強がひとりででき、理解もできます。しかし、高度な専門知識や膨大な経験をもつ先人や学友と直接意見を交わすことはできません。大学院は、1対1で研究について指導してもらえたり、研究手法を教授してもらえる真の意味での「学びの場」であり、ここに大学院に通う意義があると思っています。また、研究で行き詰まったとき、さまざまな相談にのってもらえる学友の存在も、大学院ならではの良さです。
知識だけでなく、分析能力を含めさまざまな能力を鍛えたい方、インターネットで学べる知識以上の学びを求める方、自分の能力をさらに高めたい方は、進学先として拓殖大学大学院商学研究科が有力な候補のひとつであると私は考えます。