大学院生 Interview

激変する世界の安全保障の構図
本質を見極められる目を養い将来をにらむ

大学院進学と拓殖大学大学院を選択した理由はなんですか?

子どもの頃から歴史が好きで、特に「三国志」などの戦記ものを好んで読んでいました。その後、大学に入って軍事や安全保障についての興味が募り、国際政治に関心を持つようになったのです。 大学の授業では、国際政治学や国際関係論における部分的な安全保障の領域しか学べないため、軍事や安全保障に特化して深堀していく研究をしたいと考え、大学院への進学を考えました。そしていくつかの大学院を調べていくなかで、拓殖大学大学院の安全保障専攻が、日本の大学院の中でも非常に高いレベルにあると先生から聞き、本学への進学を決めました。

どんな研究を自身のテーマに取り上げていますか?

現在は、「旧ユーゴ紛争時の軍事戦略」についての研究を行っています。大学の卒業論文でも、旧ユーゴスラビアの指導者・チトーの考察に取り組んだのですが、旧ユーゴの地政学的な複雑さにはずっと興味を抱いてきました。ユーゴスラビアは現在セルビア、ボスニア・ヘルツェゴビナ、クロアチア、北マケドニアやスロベニアなどの国々に分裂していますが、第二次世界大戦後からの複雑な内政をまとめ上げたのが大統領のチトーであり、ユーゴスラビアを統治し、ソ連との関係も非同盟外交の中で実績を作りました。現実主義的な手法で統治を進めた手腕は見事で、こうした有事の際のリーダー像は日本も学ぶべき点が多々あるのではないかと考えます。

大学院での学びから見えてきたものは何ですか?

ロシアのウクライナ侵攻を契機に、世界の安全保障の構図は激変し、日本においても従来の外交・安全保障政策を今一度真剣に議論する必要があると感じます。そして、現行するウクライナ戦争のほか、台湾有事をはじめとした東アジア情勢の不安定化など、今後の世界が再び戦争の時代になる可能性が懸念されています。それだけに今、あらゆるメディアに囚われない目を持ち、「大衆」にならないということが大事であると思います。というのも、現代のWeb上を中心としたフェイクニュースに踊らされる大衆に、危うさを感じる状況が増えているからです。表面的に紹介される事象を盲目的に見たり聞いたりしてしまうことで、国際的に重要な議論が間違った方向へと進んでしまいかねないと感じます。
そうした意味からも、本学大学院での学びを通じてつねに本質を見極めることができる目を養い、私自身、将来的には研究機関やシンクタンクの中で現在専攻する研究を活かしていきたいと考えています。