研究科委員長 Interview
地方政治行政研究科
浅野 正彦 教授
- Q.
- 地方政治行政研究科の特色について教えてください。
- A.
- 他大学にはない環境で
研究テーマを追究できます。

地方政治行政研究科では、名前のとおり、政治と行政について「地方」に焦点をあてて研究できます。こうした大学院は珍しく、さまざまなバックボーンと志を持った学生が集ってきています。
拓殖大学や他大学で政治学や行政学を学んだ学生だけでなく、現役の企業経営者や地方の議員なども在籍しています。なかには授業のために毎週九州から飛行機でやってくる経営者の方もいます。公務員として行政職に就いている人や企業で働いている方、定年退職後に学び直しをして学位を取得したいといった人もいます。もちろん留学生も在籍していて、日本と自国の政治や行政との比較研究に取り組んでいます。
このように地方政治行政研究科では、多様な学ぶニーズを持った人たちを受け入れ、さまざまな問題意識に応えながら各自の研究をサポートしています。それだけに授業や発表を通じて異なる視点からの刺激や気づきを得ることも多く、それが研究科全体を活性化させ、研究内容も濃いものになっていると思います。
- Q.
- 浅野先生は日本の選挙について
ユニークな研究をしているそうですね。
ユニークな研究をしているそうですね。
- A.
- 「笑顔」や「顔の印象」と
得票との関係を分析しています。

私の専門分野は比較政治学(特に日本政治)と政治学的方法論で、データや根拠となる事実に基づいた実証的な研究を行っています。
そんな私が最近取り組んでいるのが、データサイエンスを活用した「候補者の外見と得票の関係」です。たとえば選挙ポスターの写真の「笑顔度」を評価し、それが得票に影響を与えているかどうか。
またいわゆる「イケメン」「美人」という外見上の評価が、それぞれの政治家のイメージにどう影響を与えているかといったこともサーベイ実験という手法を使って研究しています。
具体的には、できるだけ先入観を排するためにネット上で日本国内外の被験者に実験を行い、ひとりひとりの政治家の顔写真を評価してもらい、その容貌への好評価が政治家としての期待にどう結びついているかを分析しています。
こうした人間の心理と投票行動との関連を研究することはとても興味深く、今後も研究を継続して成果に結びつけたいと考えています。
研究科に在籍する学生にも私の研究テーマに関心を持つ学生がおり、中国からの留学生で日本の国政選挙を題材に「笑顔度と得票の関係」を分析した学生がいました。彼は今、九州大学で博士論文を書いています。
- Q.
- これからの地方政治行政研究科の
教育方針について教えてください。
教育方針について教えてください。
- A.
- 科学的に政策を立案できる
人材を育てていきます。

地方政治行政研究科には「地方政治」「公共政策」「防犯・防災」の3つのコースがあります。それぞれに政治や行政の現場で専門的な知識や研究成果が求められる分野ですが、共通して言えることとして、政治学・行政学を「科学」としてとらえ、解決すべき課題についてエビデンスに基づいた答えを出せる人材を育てていきたいと思います。
私の研究で言えば統計学やゲーム理論といった基礎知識が必要ですし、そのベースとなる数学の知識も不可欠です。データを分析するためには自分で簡単なプログラミングができることも理想です。
そして科学的な手法を修得して政策立案を行えるようになれば、卒業後の進路は多様に広がります。公務員として、あるいは地方や国政の議員として活躍する道はもちろん、科学的な政策立案の能力が求められる場は一般企業にも広がっています。地方政治行政研究科は設置されてから12年になりますが、これまでにも著名な政治家や登山家の方も在籍していました。意欲と問題意識があれば、地方政治行政研究科で学ぶチャンスは来歴や職業、年来や国籍を問わず広がっているのです。