研究科委員長 Interview
国際協力学研究科
吉野 文雄 教授
- Q.
- 国際協力学研究科の特色について教えてください。
- A.
- 多数の留学生が学ぶ
国際色豊かな研究科です。

国際協力学研究科には「国際開発専攻」と「安全保障専攻」があり、それぞれ博士前期課程と博士後期課程があります。
留学生が多いことが特色で、特に国際開発専攻では9割近くが留学生。中国をはじめアジア各国出身の学生が多いですね。
留学生が多いことの背景には、日本に関心を持つアジアの人たちが増えてきたことがあると思います。日本のアニメなどに親しむ中で日本の文化や社会に興味を持つようになり、そこから日本への留学を決意したという人が少なくないのです。たとえば日本の大学で勉強している時にコンビニエンスストアのサービスやシステムに驚き、大学院で本格的に研究したいと考えて入学してきた人もいました。もはや現在では、中国のほうがコンビニの無人化などで進んでいる面があるのですが…。
いずれにせよ国際開発専攻の学生たちは、日本の文化や社会、政治や経済などを研究し、それを世界のさまざまな地域の発展や課題開発につなげたいという思いを持っています。また世界の地域研究も盛んで、たとえばアジアにおける麻薬の問題について研究し、卒業後に母国で麻薬を取り締まる仕事に就いた留学生もいます。
また国際開発専攻では日英2言語で、安全保障専攻は日本語で授業を行います。留学生が多い国際開発専攻では、英語で行う授業が1/4くらいになります。英語を主言語とする留学生に配慮したものですが、留学生も多くは日本語が堪能です。どの授業でも臨機応変に日本語と英語が使い分けられ、授業以外でも両言語や留学生の母国語が飛び交っている国際色豊かな環境です。
- Q.
- 日本人学生はどんな研究に取り組んでいますか?
- A.
- 年齢や職業もさまざまで、
研究テーマも実に多様です。

他大学を含めて学部を卒業してすぐに進学してくる人もいますが、社会人として経験を積んだ後に入学する人も多いのです。
比較的高齢の方も多く、たとえば60歳なかばでパプアニューギニアの開発について研究した人、70歳で入学して知的財産権の国際法を研究し、卒業後は他大学の博士課程で研究を続けている人もいます。
また安全保障専攻では、防衛や外交といった今日的なテーマを取り上げる人が多いのですが、なかには「村上水軍」を研究した人もいました。安全保障という視点で見ると現在の新型コロナウイルス感染症の問題なども格好の研究テーマになります。自由な発想で各自の研究テーマを追究してもらえばいいと思いますね。
- Q.
- これからの国際協力学研究科について
教えてください。
教えてください。
- A.
- 多くの日本人学生に来てもらう一方で、
留学生の出身地域も広げたい。

先ほども言いましたが、特に国際開発専攻では留学生が圧倒的多数を占めています。国際大学である拓殖大学ならではの状況ですが、今後は拓殖大学の国際学部をはじめ大学の学部を卒業した日本人学生を多く受け入れていきたいと思います。
また一方では、英語の教育を受けた留学生にもっと入学してほしいと思います。インド、パキスタン、ネパールなどの高等教育機関で英語教育をしっかり受けてきた学生たちです。そうすることで日本人学生にとっても、グローバルスタンダードである英語で授業を受けたり発表や討論をする機会が増えていくと考えています。
私の授業でもレポートの作成やその発表で日本語か英語を選ぶようになっており、日本人にとっては英語の、留学生にとっては日本語の能力を高める機会になっています。学生の共同研究で刺激を受け合うことも多く、教室だけでなくキャンパス生活を通じて語り合い、食事や生活をともにするなかで学び合うことが何より大切なのです。卒業生を含めて交流が盛んな国際協力学研究科のカラーを大切に、これからさらに教育内容を充実させていきたいと考えています。