研究科委員長 Interview

経済学研究科
岡崎 哲郎 教授

Q.
経済学研究科の特色について教えてください。

A.
国際経済専攻という名称に
他大学にはない特色が表れています。

経済学研究科の特色のひとつが、研究科のもとに設置された専攻の名称が「国際経済専攻」であるという点です。
その背景には、何よりも拓殖大学がその歴史の中で、海外で活躍する人材を多数送り出してきたという実績があります。ですから、たとえば日本の経済を研究する場合でも、国際的な視点を忘れない。それが経済学研究科のモットーだと思います。
また、国際経済専攻のもとに「経済学」「国際政治経済」「地域経済」という3つの系列が置かれている点も大きな特色です。
つまり経済学だけでなく、国際政治への関心にも応えることができます。そして中国をはじめとするアジア、アメリカ、中東、ロシアといった地域に焦点をあてた研究に取り組める点も他の経済学研究科にはない拓殖大学ならではの特色です。
こうした特色ある研究科ですので、博士前期課程・後期課程ともに留学生が圧倒的に多数で、日本の大学院で学位を取得して研究者になりたい、あるいはキャリア・アップにつなげたいという意欲ある学生たちが日々研究に取り組んでいます。

Q.
大学院で学生たちはどのような研究をしているのですか?

A.
幅広いテーマで研究に取り組みながら
問題解決力を育んでいます。

学生たちの多くは留学生ですから、追究するテーマもそれぞれの出身地域を反映してバラエティに富んでいます。
たとえば博士後期課程に在籍しているベトナム人学生ですが、ベトナムの鉄道に関わる交通政策について研究している人がいます。日本の進んだ先行研究や日本の交通政策について学びながら、自国の交通政策について考察しようというものです。本来は、こうした研究の上に自国での調査結果を加えて研究をまとめあげるのですが、残念ながら新型コロナウイルス感染症の問題があってベトナムと日本を行き来することが難しく、インターネットや日本で閲覧できるベトナムの資料などを使って研究を進めているようです。
このような研究の経験を糧に、これからもさらに発展を続けていくアジア諸地域の留学生たちが、やがては母国に戻って拓殖大学で学んだことを社会のために役立てていくことも私たちは大いに期待しています。

Q.
経済学研究科で学んだことは社会で
どのように役立つのでしょうか?

A.
論理的に分析し、
自分で答えを見つけ出す力が身につきます。

私自身はゲーム理論を公共経済の領域に展開することをテーマに研究しています。経済学は、社会の構造を論理的に考察し、さらにデータや資料をベースに科学的に分析をすすめる学問ですから、その研究成果を応用することで多様な社会問題への対応策が導き出されます。また経済学の勉強を通じて、社会の構造を論理的に考察する姿勢を身につければ、政治や地域社会、文化に関する理解も深まりますから、実社会のさまざまな課題を発見し、解決する力も総合的に養われていきます。
いまは経済学を大学院で学んで学位を取得しようという日本人学生は決して多くありません。ここには、修士や博士の学位を持っていることが日本の企業文化の中であまり高く評価をさてこなかったという問題もあります。しかし私は多くの課題に直面している現在の日本でこそ、経済学を大学院で学ぶことの意義は大きいと考えています。
「答えのない問題」があふれている現代の社会において、自らの力でその答えを見つけ出していける力をつけたい、そんな意欲ある学生のみなさんをお待ちしています。