研究科委員長 Interview

商学研究科
田嶋 規雄 教授

Q.
商学研究科の特色について教えてください。

A.
留学生とともに日本の経済社会を学ぶ
国際的な環境です。

商学研究科には留学生が多く、2021年度の博士前期課程では6割近くが外国人学生です。
これほど多数の留学生が集まっている理由としては、本学の学部と連動した留学生支援制度が充実していることもさることながら、特にアジア地域において日本への関心が高まっていることがあげられます。実際のところ、留学生の入学動機として、日本の特色ある経営について学びたい、日本のサービス業の質の高さの秘密を知りたいといったものが多いようです。またマンガやアニメを通じて日本の文化や生活への知識をすでに持っていることも、日本留学への敷居を低くしているのだと思います。
こうした国際的な環境にある商学研究科ですが、私はこの研究科が「商学」という名称であるところにも大きな特色があると考えています。
「商学」を名乗っている背景には、拓殖大学の商学部が日本屈指の歴史を持ち、商学研究科も設置後70年に及ぶ伝統を誇っていることがあります。しかしそれだけではなく、より広く俯瞰的な立ち位置から経済社会全体を見渡す「商学」の視点が脈々と受け継がれていること、それこそが拓殖大学の商学研究科の大きな特色であると私は考えています。
その他にも社会人が学びやすい環境が整っています。都心キャンパスでの昼夜開講であるため、就業後の通学が可能です。また、本研究科は厚生労働省の教育訓練給付制度の対象校にもなっています。

Q.
先生はどのような研究に取り組んでいるのですか?

A.
おもに新製品のマーケティング戦略に
ついて研究しています。

私の専門分野は「消費者行動とマーケティング戦略」で、消費者行動研究のマーケティングへの「戦略的」な適用に強い興味を持っています。そして現在おもに取り組んでいるテーマが、企業の新製品と消費者行動の関係です。新商品を世に送り出す時のネーミングや販売形態について、企業はどのように意思決定しているのか。それを企業の担当者や消費者へのインタビューやアンケートなどを通じて明らかにしています。
最近では企業が新製品を売り出す時に、マンガやアニメ、ゲームなどのポップカルチャーをからめたCMやプロモーションを展開する例が増えてきています。たとえばカップ麺の宣伝にアニメの主人公を登場させることで、消費者の行動はどのように影響を受けるのかといったことを研究しています。
こうした研究は学生にとっても興味深いらしく、マンガやアニメ、SNSなどを活用したマーケティングについて考察する人や、プロモーション手法のひとつである「展示会」について研究した人もいます。ちなみに企業の展示会をテーマに研究したのは留学生で、卒業後は日本で展示会をプロデュースする企業に就職しました。

Q.
これからの商学研究科はどのような学生を
育てていく計画ですか?

A.
生涯を通して役立つ学術的な
視点と手法を大切にしていきます。

商学研究科には「商学」「経営学」「会計学」「法律学」の4つの系列があります。「会計学」「法律学」の系列を学ぼうという人には税理士を志望している学生が多いのですが、そうした人たちも、あくまでも学術的な研究を中心に据えてほしいと考えています。
実務的な知識はすぐに役立つかも知れませんが、現在のように変化の激しい社会では陳腐化するスピードも早いのです。しかし大学院でしっかりと身につけた理論や、経済社会をマクロ的な視点から分析する研究手法は幅広い分野で生涯にわたって使えるものです。
ですから社会人として入学してきた人にも、自分の仕事の延長ではなく一歩引いて学術的な立場から考えるよう指導します。結果としてより永く、より広く役に立つ成果を手にすることができると確信しています。
このように、各自の目的をしっかりと見据えながら、アカデミックな立場で研究テーマを追究できる人たちにぜひ商学研究科で学んでいただきたいと考えています。実際にアカデミックの道を志して修士課程から博士課程に進学する社会人もいます。