Graduate School of International Cooperation Studies 国際協力学研究科

指導教員 国際協力学研究科「朝鮮半島研究」
荒木 和博教授
民社党本部に在籍後、現代コリア研究所研究部長を経て、拓殖大学海外事情研究所へ。北朝鮮拉致問題の専門家として最前線に立ち、被害者救出のために活動を行っている。現在、特定失踪者問題調査会代表。著書に『日本が拉致問題を解決できない本当の理由(わけ)』など多数。

大学院生 安全保障専攻博士後期課程3年
拓殖大学政経学部卒業後、大学院国際協力学研究科に進学。2010年に韓国の慶煕大学校に約1年間の交換留学を経験し、博士前期課程修了後、博士後期課程へ。2014年には著書『現代韓国政治分析―「地域主義・政党システム」を探る』を出版。

大統領の罷免で激動する韓国の政治情勢。
なぜ韓国社会には亀裂が生じるのか。

「韓国政治における社会的亀裂と政治的亀裂」をテーマに研究する梅田 皓士さん。拓殖大学政経学部で韓国語を学んだことをきっかけに、韓国の社会に深く関心をもつようになりました。大学院では北朝鮮の拉致問題など朝鮮研究の第一人者として活躍する荒木 和博教授に師事。今日はそのお二人に、転機を迎える韓国の実情や地域研究の魅力についてお伺いしました。

新政権誕生で転機を迎える韓国。その行く末は?

ーーまずは梅田さんの研究内容について教えてください。

梅田私は韓国の政治、特に選挙に注目して研究しています。修士論文でも書いたのですが、例えば、朴槿恵第18代大統領が選出された選挙においては、支持率90%以上を獲得した地域があるのに対し、対立する候補が強い地域ではアウェーとはいえ、支持率10%程度と極端と言える数字が見られました。日本で置き換えるなら、反中央、反東京を打ち出して大阪では絶大な支持率を得た橋下徹氏に通じるものがあって、韓国ではこの「東京対大阪」のような構図がさらに鮮明な地域主義として根付いています。私は、なぜこのような亀裂が韓国社会の生じるのかに注目して研究しています。

荒木折しも韓国では朴槿恵第18代大統領が建国史上初めて大統領を罷免され、第19代大統領選挙が間近に迫っています(2017年4月現在)。梅田さんも現地に飛んで、その様子を調査する予定ですね。

梅田はい。私は朴槿恵第18代大統領が弾劾された時も韓国にいましたが、今回、新しい大統領が誕生する瞬間にも立ち会いたいと考えています。

ーー現地調査をする理由は?

梅田やはり生の声を聞きたいからです。例えば、朴槿恵第18代大統領が弾劾された時などは、裁判所の前で涙を流して喜んでいる人もいました。いったい何がそれほどうれしいのか、朴大統領に対するその感情について、現地で生の声を聞くことによって報道だけではわからない真実を知ることができると考えています。

荒木確かに韓国の国民性は特殊で私たちにはなかなか理解できないことも多いですね。朴槿恵前大統領が圧倒的な支持率を得たと思ったら、疑惑の発覚で、一気に史上最低の支持率まで急落する。このような変化の激しい韓国の政治情勢を梅田さんがどのように分析するのか、私も一人の研究者として楽しみにしています。

現場を重んじる「地域屋」の心意気。理論と実際の融合をめざして。

ーー荒木先生から見て、梅田さんはどんな人物ですか?

荒木ひと言で言うなら「韓国オタク」。でも、決して悪い意味じゃないです。そもそも私が若い頃は、朝鮮研究をする人は変わり者が多かったですから。最近はこういうタイプがめっきり少なくなっていたので逆に頼もしいくらいです。

梅田地域研究者は、いわゆる「地域屋」と呼ばれていますが、あくなき探究心をもって現場に飛び込むのが基本だと思っています。そいういう姿勢を私に教えてくださったのは荒木先生です。

荒木確かに私は地域研究者として、現場で起こった事象からアプローチする現場主義の研究手法を重視しています。理論だけで考えようとするとどうしても現実との間に乖離が生じてしまうと感じているからです。梅田さんの場合は、韓国でフィールドワークをするなど現場主義を重視しながら、政治学の理論的なアプローチも疎かにしていません。特に選挙に関しては数字も完璧に把握しています。

ーーどうしてそういう研究手法をしているのですか?

梅田海外事情を研究する上で大切なのは、事実を積み上げること。その事実が報道などの間接的なものだけでは歪められている可能性があるので、地域研究者は自分の目で確かめることを重視します。一方で、私の研究する選挙については、支持率であったり、投票率であったり、客観的な数字が出やすく、集めやすい。客観的なデータと自分の目で確かめた事象の両面からアプローチすることで、理論と実際の架け橋となるような研究ができないだろうかと模索しています。

自分のフィールドを見つけ、未知の世界を切り拓く開拓者であれ。

ーー朝鮮半島の研究を続けるその魅力を教えていただけますか?

荒木私は長年、朝鮮半島問題を取り扱っていますが、原稿にタイトルをつけるならいつの時代でも「激動する朝鮮半島」と書いておけば間違いない。それくらい話題には困らない地域で、そこが魅力だと思っています。

梅田自他共に認める「韓国オタク」の私もまったくの同意見です。日本と韓国は、世界から見れば東アジアの似たような国なのかもしれませんが、私たち日本人からすればものの見方、考え方がまるで違います。それらの違いから生じる政治現象、社会現象には我々の社会にはない新しい発見があり、もっとこの地域や民族について知りたいという気持ちにさせてくれます。

ーーこれから大学院に進学する人にメッセージをお願いします。

荒木地域研究者は積極的にフィールドに飛び出す開拓者精神がなければ務まりません。梅田さんのように自分にとって「目が離せない」と感じるようなホットなフィールドを見つけてほしいと思います。自らのあくなき情熱を研究に注げる人にぜひ入ってきてほしいですね。

梅田私はこれまでに韓国留学や留学先から出版社への寄稿など、他では得難いような経験をさせてもらいました。それらが研究の血となり肉となり、私にしかできない研究ができているという実感があります。拓殖大学大学院への進学は、自分の足で現場に向かい、自分の目で確かめて研究をしたいという人におすすめしたいですね。

ーーありがとうございました。

拓殖大学の開拓者精神を胸に、夢中になれるフィールドへ飛び込む。
人種の色も、地の境も乗り越えて、共にわかり合える未来をめざして。