Graduate School of Engineering 工学研究科 機械・電子システム工学専攻

指導教員 工学研究科「電子回路のカオス強化学習アルゴリズム」
三堀 邦彦教授
海上保安大学校勤務を経て拓殖大学へ。電子回路とプログラミングが専門分野。主な研究テーマは、複雑な波や人の動きを把握するための「電子回路のカオス」「マルチエージェントシステム」と人間のように経験から学びとる機械を実現するための「強化学習アルゴリズム」など。

大学院生 機械・電子システム工学専攻博士前期課程1年
工業高校出身の「理系女子」。拓殖大学工学部電子システム工学科を卒業後、人の役に立つ工学技術を追究するために大学院へ。農業の効率化、高品質化をめざす研究に励む傍ら、将来は工業高校の教員になることをめざし、教員採用試験の勉強にも取り組んでいる。

電子システムで作られる小さな要素技術が、
世界の未来を大きく変えるかもしれない。

「マイコンを用いた植物の成長促進システム」をテーマに研究する渡辺 柚香さん。学部時代に学んだプログラミングとセンサの技術を生かして人の役に立つ研究がしたいと考え、大学院に進学。指導教員だった三堀 邦彦教授に何度も相談して、自分が夢中になれる研究テーマにたどり着いたそうです。今回は開発中のシステムの仕組みとこれからの可能性についてお伺いしました。

農場をコンピュータ制御するシステムの構築をめざして。

ーーまずは渡辺さんの研究内容について教えてください。

渡辺現在の研究をひと言で言うと「センサを使った植物のモニタリング」で、2種類のセンサを設置して、土壌の状態を調べます。1つ目のセンサは含水率、温度、電気伝導度などを計測しています。電気伝導度というのは耳慣れない言葉かもしれませんが、土壌を診断する上で重要な指標。電気伝導度の値が高くなると土壌中に肥料成分が多いと判断することができます。
そして、2つ目のセンサではPF値と呼ばれる数値を測っており、植物が水を吸い上げるためにどれくらいの力が必要なのかを調べています。

ーーセンサで測定したデータはどのように活用するのですか?

渡辺「Arduino(アルドゥイーノ)」というマイコン(マイクロコントローラの略)を用いて、コンピュータに出力し、土壌の状態を正確にモニタリングするためのデータ分析に生かします。このデータを集めて、将来的には「マイコンを用いた植物の成長促進システム」を作り上げることが目標です。マイコンを高性能化することによって、必要なタイミングで必要な量の水や肥料を提供することができるようになれば、植物の生育にとって理想の土壌環境を常に保つことができるようになります。

三堀それが実現すれば農業の効率化や品質の向上につながるかもしれません。夢のある研究なのでぜひがんばって成果を出してほしいですね。

電子システムの技術が生み出す無限の可能性に挑戦。

ーー研究分野の魅力を教えていただけますか?

渡辺私は山梨県出身で、農家が身近にある環境で育ちました。お年寄りの農家はたいへんそうで、何か役に立つ研究をしたいという思いが現在の研究テーマにつながりました。センサやマイコンなど、小さな部品の組み合わせが大きな農場の効率的な管理に生かされるかもしれません。人の役に立つ研究がしたいと考えていた私にとって、やりがいのあるテーマに挑戦することができています。

三堀私たちの研究は要素技術として使われるものがほとんどです。そして、家電などの小さなものから、もしかしたら農場を自動で管理するような大きなシステムまで、すべてがそれらの要素技術の組み合わせで作られ、しかもコアとなる重要な役割を果たしています。

ーーつまり、応用できる範囲が広い?

渡辺そう思います。私は農業分野への応用を考えていますが、自分のアイデアと工夫で新しい技術革新が生まれる分野は他にもいくらでもあると思います。身につけた知識と技術を社会にどう生かすのかを考え、新しいものづくりに挑戦するところに研究の醍醐味があると感じています。

三堀大学院に進学する学生には、渡辺さんのように志をもって学んでほしいですね。人の役に立ちたい、最先端の技術を開発したい、世の中の不思議を解き明かしたいなど、何でもいいので、自分が楽しめるような研究テーマを見つけてほしいと思います。

夢は大きく、志は高く。失敗を恐れない姿勢が未来を拓く。

ーー三堀先生から見て、渡辺さんはどんな人物ですか?

三堀自分の研究が好きで、熱心に打ち込めるタイプ。私がこの夏から拓殖大学と学術交流をしている香港理工大学に研究のために留学するので、渡辺さんは他の研究室にいったん所属して、現在の研究を継続することになります。他で受ける刺激もあるかと思います。帰ってきたらどれだけ成長しているのか今から楽しみにしています。

渡辺ありがとうございます。在籍中にできる限りの研究成果を残したいと思います。

ーーこれから大学院に進学する人にメッセージをお願いします。

渡辺具体的な研究テーマが見つかっていなくても、まずは先生に相談してみることをおすすめします。私も自分の関心分野と研究がつながるなんて想像もしていませんでしたが、三堀先生のアドバイスのおかげで視界が開けて、夢中になれる研究テーマと出会うことができました。

三堀そうですね。特に電子システムの研究は応用できる範囲が広い。自分で可能性を決めつけないで、渡辺さんのように農業に革命を起こすような、夢のある研究に挑戦してほしいと思います。もちろん、望んだ結果にたどりつけないこともあるけど、それでも構いません。試行錯誤する過程のなかにこそ得るものがあるのですから。

ーーありがとうございました。

より快適で便利な未来につながるエンジニアリング。
自分だけの答えが見つかるまで、あくなき挑戦は続いていく。