Graduate School of Commerce 商学研究科

指導教員 商学研究科「経営戦略とCSRとの関係」
潜道 文子教授
CSRという言葉が流行する前から、企業と社会の関係に関する研究に携わる。担当する学部のゼミでは例年「社会人基礎力育成グランプリ」に学生を出場させており、グランプリを含む優秀な成績を収めている。スポーツが好きで、スポーツとビジネスの研究にも取り組んでいる。

大学院生 商学研究科博士前期課程2年
子供の時からサッカーに熱中。学部生時代にさまざまな国際経験を積んで、拓殖大学商学部を卒業後、「社会を変える」ビジネスを研究するために大学院に進学。地域活性化に取り組む企業に籍を置きながら、博士後期課程に進学してより研究を深める予定。

ビジネスによって社会の課題を解決する。
CSRの進化系としてのCSVという考え方へ。

「CSV(Creating Shared Value:共通価値の創造)と組織デザイン」という研究テーマに取り組む鈴木 広大さん。もともとは海外でサッカー選手として活躍することをめざしていた鈴木さんが、どのような経緯で大学院に進学し、「企業と社会」の関係について研究する潜道 文子教授に師事するようになったのでしょうか。ここではお二人の出会いや現在の研究内容について伺いました。

「社会の課題を解決したい」という想いから研究の道へ。

ーー鈴木さんは将来を嘱望されたサッカー選手だったそうですね。

鈴木子供の時からサッカーをしてきて拓殖大学に入学し、サッカー部で活動していました。そんな私が今、こうして大学院でビジネスの研究をするようになったのには紆余曲折のストーリーがありまして、最初のきっかけはラオス・カンボジアでの海外研修に参加したことだと思います。

潜道拓殖大学では麗澤会海外派遣団という制度があり、毎年さまざまなテーマを設定して、世界各地に学生を派遣しています。

鈴木私はその時にはじめて発展途上国における貧困を目の当たりにして、「社会を変えたい」という想いを抱くようになりました。ここからが拓殖大学ならではのストーリーなのですが、私のような若者が「社会を変えたい」と夢を語ったら教職員のみなさんも真剣に耳を傾けてくださって、すぐに政治家事務所での議員インターンシップを紹介してくれるなど、他ではありえないような体験をさせてもらいました。

ーー最初は政治家を志していたのですか?

鈴木当初は「社会を変える=政治」という考えでした。しかし、実際に、インターンとして政治の世界を体験して、まずは自分が社会に飛び込んで経験を積まないと通用しないと考えるようになりました。

潜道私と鈴木さんが出会ったのはちょうどその頃です。「面白い学生がいるから」と紹介されて話してみたところ、鈴木さんはまだ漠然としているけれど「社会を変えたい」という大きな志を持っていました。「政治に限らず、ビジネスでも社会を変えることはできますよ」とアドバイスしたことが今につながるきっかけでした。

事業を通じて経済的な成果と社会的イノベーションが結びつく、CSRからCSVへ。

ーー鈴木さんの研究内容について教えてください。

鈴木私はCSV(Creating Shared Value:共通価値の創造)という概念について研究しています。

潜道今でこそCSRという概念は一般的に理解されるようになり、コンプライアンス(法令遵守)や環境マネジメントなど、あらゆる企業が社会的責任を果たすための活動に取り組んでいます。しかし、CSRはあくまで本業とは別の周辺活動であり、「利益を創出する」という企業活動とは少し外れているという考えも根強いといえます。そこでより企業の経済的価値の創出と社会的価値の創出を融合した新しい概念として、CSVという考え方が登場しました。鈴木さんはこのCSVに注目して研究しています。

ーーCSRとCSVの違いは?

潜道CSRとCSVの最大の違いは、CSRは企業が社会に対して責任を果たす活動に力点を置いているのに対して、CSVは社会の課題を解決しながらも、利益の獲得も追求するという点にあると思います。

鈴木例えば、自動車メーカーがハイブリットカーを開発して地球温暖化の原因のひとつであるCO の削減に貢献しているのは、社会の課題を解決しながら利益を上げることに成功しているひとつの例だと言えると思います。私の研究はこのCSVについて、理論と事例の両面から研究することで、これからの企業のあるべき姿を探っていきたいと考えています。ひとつのキーワードとして注目しているのが組織デザインです。CSVを生み出す組織には、共通の価値観や高い目的意識が必要なのではないかという仮説のもと、CSVに基づいた事業を、より生み出しやすい組織について研究に取り組んでいます。

大きな志を持って、世界に貢献できる人材へ。

ーー鈴木さんの今後の目標を教えてください。

鈴木はい。ある社会的企業の事業に携わらせていただきながら、博士後期課程に進んで、CSVと組織デザインに関する研究をさらに深めたいと考えています。

潜道その会社は広島県呉市の三角島(みかどしま)という、人口わずか25名ほどの瀬戸内海に浮かぶ小さな島に本社を置いています。

鈴木まさに私が研究するCSVを体現する企業で、学部生時代にはこの会社でインターンとして働きつつ、三角島を活性化することを目的とした地方創生活動について研究しました。その時からのご縁で、三角島の活性化とビジネスを両立させる事業に携わらせていただきます。

潜道鈴木さんは三角島の活性化プロジェクトで、経済産業省が主催する「社会人基礎力育成グランプリ」にチームリーダーとして出場し、全国大会で経済産業大臣賞を受賞する快挙を達成しています。

ーーこれから大学院に進学する人にメッセージをお願いします。

鈴木私のように「社会を変えたい」なんて大きなことを学生が言い出しても、拓殖大学では絶対に誰も笑わないし、それどころか本気でそのためにはどうすればいいのかを一緒に考えてくれる人がいます。チャレンジする学生を全力で応援してくれる大学なので、それをフルに活用してほしいと思います。

潜道鈴木さんは麗澤会海外派遣団の後にもニュージーランドへの語学留学や、留学生の実家や拓殖大学の先輩を巡るアジア一周の旅など、拓殖大学でしかできない体験を通じて国際感覚を磨いてきました。これから大学院で学ぶみなさんにも、こういう充実した学生生活を送って、スケールの大きな未来を実現してほしいと思います。

ーーありがとうございました。

些細なきっかけからでも、志のある学生には道が拓ける。
そんな卒業生を世界中に輩出しているのが拓殖大学の強み。